2026/01/14
山本の部屋事務職の椅子が消えていく?大きな変動期を迎える『事務職』のキャリア
このコラムでは、北陸人材ネットの代表取締役社長・山本が、日々考えていることなどをお伝えします。
皆さん、こんにちは。山本です。
今日は、事務職というキャリアの「いま」について、少しシビアな数字の話をしようと思います。
この仕事をしていると、「事務職で安定して働きたい」という方とよくお会いします。
特に、公務員や役所での経験がある方は「正確にルールを守る仕事」の価値をよく知っていますよね。
でも、実はその「事務職の椅子」が、いま日本中から猛烈な勢いで減っていることをご存知でしょうか。
20年前、求人の6件に1件は「事務」でした
厚生労働省のデータを紐解くと、驚くべき事実が見えてきます。
● 2004年:全求人のうち事務職の割合は 16.0%
● 2024年:全求人のうち事務職の割合は 9.5%
わずか20年で、事務職の募集枠はほぼ「半分」近くまで減ってしまいました。
かつては役所やオフィスに必ずあった「手書きの伝票を整理する」「電話を取り次いでメモを書く」「書類をファイリングする」といった仕事が、今ではAIやクラウドソフトに取って代わられたからです。
事務職に占める「正社員求人」の比較推移
さらに追い打ちをかけるようなデータになりますが、事務職の全求人(パートタイムを含む)のうち、正社員(フルタイム・無期雇用等)が占める割合は以下の通りです。
● 2004年:事務職の正社員求人比率 約 45% 〜 50%
● 2024年:事務職の正社員求人比率 約 25% 〜 30%
上にお示しした数字を掛け合わせた、事務職正社員の求人が全求人に占める割合については下記のとおりになります。
● 2004年:全求人のうち事務職正社員の割合は 7.2~8.0%
● 2024年:全求人のうち事務職正社員の割合は 2.4~2.9%
以上のことから事務系正社員の求人は全求人の3%にも満たない状況になっていることが伺えます。
事務職正社員希望者は20年前より増えている
正社員希望者のうち「事務職」の割合は2004年は約 30.0%だったのが、2024年は約 35.0%に増加しています。
2004年はITバブルのはじけた時期でもあり、全体の求人倍率が0.8倍でした。
なので仕事を選ぶ余裕がなかったと思われますが、2024年は全体の求人倍率が1.2倍。
やりたい仕事を選ぶという視点から事務職の希望者が増えているものと推測できます。
いかがでしょうか?数字をいろいろ調べてわかったのは、
① 想像以上に事務職正社員の求人は減っていること(20年前の約3~4割にまで減っている)
② それにも関わらずに事務職正社員を希望する人が増えている(20年前より2割増加)
以上の状況から、
「売り手市場にも関わらず事務系正社員のみ大きなミスマッチが生まれている」
「この事実が一般的にはあまり知られていない」
ということです。
しかもこれは生成AIの本格的な普及が始まる前の2024年のデータを基にした事実です。
大学卒の求人がAIによって消えているアメリカの現実
今年(2025年)に入って、この流れはさらに加速しています。
IT先進国のアメリカでは、これまでの「安定したエリート職」に激震が走っています。
● 大学新卒求人の減少:
全米大学・雇用主協会(NACE)の調査によると、2024年度の学士号取得者の採用予定人数は、前年比で5.8%減少しました。
特に金融・保険・プロフェッショナルサービスといった、かつての「人気事務・分析職」でその傾向が強まっています。
今年の数字はまだ集計できませんが、この流れが加速化している報道が多くでています。
● 特定の職種の激減:
大手求人サイトIndeedのデータでは、ソフトウェア開発やバックオフィス部門の求人はパンデミック前の水準を10%〜30%下回る地点まで落ち込んでいます。
優秀な大学を卒業しても、いきなり高度な専門業務を行うことは難しいので、アメリカでも新卒は、言われたことを言われた通りに行うというポジション(エントリーグレード)からキャリアをスタートさせます。
そのエントリーグレードの仕事がAIによって奪われ始めています(ちなみに日本でも新卒採用はAIによって同じように減るのか?という疑問がわいてきた方もいらっしゃるかと思いますが、これについては別にまとめてみようと思います)。
事務職の仕事はなくなるのか?
この数字を見て、「事務職はもう無理なのかな…」と自信をなくす必要はありません。
私はすべての事務職の仕事がAIに置き換わることはないと考えています。
AIは一見、何でもできるように見えます。
しかし、実はAIが苦手とし、さらに置き換えのコストが見合わない「不毛な領域」があるのではと思っています。
それは、「めんどくさくて、大変で、再現性が低く、それでいて正確性が求められる仕事」だと考えています。
なぜか?
AIは大量のデータがないと学習できません。
したがってデータ数が少ない分野ではおおよその解しか導き出すことができないからです。
つまりデータ数が少ないけど間違ってはいけない、つまり「めんどくさくて、大変で、再現性が低く、それでいて正確性が求められる仕事」はAIができない仕事なのでは?と私は考えています。
「ただの事務」から「選ばれる専門職」へ
これからの時代に生き残る事務職の領域は、「誰でもできる作業」ではなく「めんどくさくて複雑なルールを扱う専門職」だと考えています。
例えば、私たちが毎月受け取る「給与計算」の事務や「社会保険」の手続きの事務。
これは非常に煩雑で、法律という厳格なルールに基づいています。
AIが得意な分野に見えますが、実は「制度の複雑な解釈」や「細かな法改正への対応」、さらには「その会社独自の様々な規則やルール」を正確に把握する必要があります。
これらを正確に把握しミスなく事務処理できる人間の力が不可欠です。
ただ、大企業の人事部門の給与事務は同一で大量の処理が発生するのでAIに置き換わる可能性が高く、中小企業のこうした業務処理を請け負うような会社の仕事が当てはまるのではと私は考えています。
日本の企業の99.7%が中小企業だといわれています。
給与計算にとどまらず、中小企業向けの業務委託を行う仕事が今後脚光を浴びることになるのかもしれません。
もしこのコラムを読んでいただいている事務職志望のあなたが今、「自分に特別なスキルなんてないし…」と不安に思っているなら、その「真面目にルールを守れる」という特性を、一生モノの武器に変えることで「選ばれる専門職」で輝かせることができるかもしれません。
事務職の椅子が減っているからこそ、価値のある椅子に座り直す。
私たちは、そんなあなたの新しいキャリアを全力でサポートする場所でありたいと思っています。
不安になったら、いつでも北陸人材ネットを訪ねてくださいね。
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