「ワークライフバランスを捨てます」から考える働き方の覚悟と危うさ

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「ワークライフバランスを捨てます」から考える働き方の覚悟と危うさ

2025/10/10

山本の部屋

「ワークライフバランスを捨てます」から考える働き方の覚悟と危うさ

このコラムでは、北陸人材ネットの代表取締役社長・山本が、日々考えていることなどをお伝えします。

“働き方”を語る前に──報道・法・感情を整理する

「ワークライフバランスを捨てます」──発言の衝撃と背景

「ワークライフバランスを捨てます」──この言葉がメディアやSNSで話題になったのは、高市早苗氏が自らの働き方への覚悟を語った場面でした。潔さと昭和的な価値観が交錯するこの発言は、経営者にとっても“働き方”を問い直すきっかけになるのでしょうか。

政治家・経営者は労働法の対象外──覚悟は自由

高市氏自身は国務大臣になる可能性が高いという立場であり、一般の労働者とは異なる「特別職国家公務員」に該当します。労働基準法の適用対象ではありません。つまり、「ワークライフバランスを捨てる」という発言は、本人の覚悟としては法的に問題のあるものではないでしょう。

「全員働いていただきます」──発言が生む懸念

しかし、発言の中には「自民党の皆さんには馬車馬のように働いていただきます」「全員働いていただきます」といった自民党員の国会議員への働きかけも含まれており、これが「国民にも同じ働き方を強いるのでは?」という懸念を生んだのでしょう。トップの価値観が組織文化に強く影響するため、こうした発言が「ブラック労働の肯定」と受け取られるリスクがある。ということでしょうか?(ちなみに国会議員の皆様も労働法の適用対象にあたらないことからこの発言自体にも違法性があるとは思えません)

ネガティブな反応の背景──“強要される働き方”への恐れ

今回の高市氏の発言に対してSNSやメディアでは「働きすぎを美徳とする感覚こそ、日本を疲弊させてきた」や「これって、国民にも同じ価値観を強いるってこと?」、などのネガティブな反応が目立ちました。これはまさに上記のような働き方を社員に強要するような風潮を懸念しての意見だったのでは?と感じています。

社員は法で守られている──働かせ方の責任

しかし、一般社員は労働基準法の保護対象であり、労働時間・休日・有給休暇などの規定が適用されます。経営者が「自分もやっているから」と、社員に同じ働き方を求めるのは法的にも倫理的にも問題があります。ちなみに経営者も労働基準法の適用対象ではありませんので高市氏のような働き方を自ら選択することは何も問題になりません。

しかし、その働き方を社員に“当然のように”求めると、法的にも倫理的にも問題が生じます。社員は労働基準法によって保護されており、働き方の自由度は経営者と異なります。

恐怖を煽る論調への違和感──構造を理解せずに語る危うさ

今回の一連のメディアやSNSの論調は、法的な構造や立場の違いを整理せずに、発言の象徴性だけで恐怖を煽っているようにも感じています。
人は本質的に「未知」に対して恐怖を感じます。これは進化的にも自然な反応であり、生存本能に根ざした防衛反応です。しかし、現代社会ではこの「漠然とした不安」が、誤解や過剰反応、排除につながることもあります。

冷静な視点が必要──感情ではなく構造と文化を見つめる

高市氏の発言に対する反応も、単なる感情論ではなく、法的構造や組織文化への影響を冷静に見つめる必要があると思います。

やらされる仕事のストレス──設計の責任は経営者にある

さらに、人が「自分で選べない」「納得していない」状態で仕事を強制されると、心理的にも身体的にも大きな負荷がかかります。経営者は自身の「働き方の覚悟」と社員の「働かせ方の設計」は別物だということを理解しておくべきでしょう。

夢中は努力を凌駕する──働き方の設計とは何か?

「働かせ方の設計」とは「いかに社員が夢中になれる場を創れるか」だと思います。
・努力は意志の力で行動を継続すること。
・夢中は意志を超えて、行動が自然に湧き出る状態。
つまり、「夢中」は努力を必要としないほどの集中と没頭を生み出し、結果として努力以上の成果をもたらす状態です。経営者がすべきは、社員に“努力を強いる”ことではなく、労働法の定める枠の中で“夢中になれる環境を設計する”ことではないでしょうか?

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