「少子高齢化が進むこれからの地域コミュニティに建築事務所がどうかかわるのか?」その問いからの試行錯誤が会社を変えていく|株式会社山岸建築設計事務所様

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「少子高齢化が進むこれからの地域コミュニティに建築事務所がどうかかわるのか?」その問いからの試行錯誤が会社を変えていく|株式会社山岸建築設計事務所様

「少子高齢化が進むこれからの地域コミュニティに建築事務所がどうかかわるのか?」その問いからの試行錯誤が会社を変えていく|株式会社山岸建築設計事務所様

地域や外部とのつながりを大切にしながら柔軟に効率よく働ける環境を目指し、「YAE Lab」として自社のリノベーションを実施した山岸建築設計事務所様。
前近代的な働き方が一般的とされる建築業界において、テレワークやフリーアドレスなどの働き方改革を進める異質な存在・山岸敬広社長にインタビューを実施しました。

<企業紹介>

1951年開設。優れたデザインと革新的な建築を提供しており、石川を代表する建築設計事務所。
国立工芸館(東京国立近代美術館、2020年竣工)は第28回いしかわ景観賞大賞・中部建築賞をはじめ数々の賞を受賞。
令和6年能登半島地震や能登半島豪雨の応急仮設住宅など、復興関連事業にも関わる。
地域特性に合わせた設計を通じて、コミュニティの発展に貢献している。

<山岸敬広氏 プロフィール>

2001年芝浦工業大大学建築学科卒、2003年金沢工業大学修士過程建築学専攻卒
香山建築研究所にて6年勤務したのち、2008年山岸建築設計事務所に入社。2013年3代目代表取締役社長就任。
地域社会への貢献を大切にしながら、住居、商業施設、公共建築など多岐に渡る設計を手掛ける。
趣味は登山と長唄三味線。

熱意と行動力と好奇心が未来を創るー山岸社長の人柄と経歴

親族内承継された経営者の方には必ず同じ質問をさせていただくのですが、3代目として会社を継いだ時に葛藤はありましたか?

山本

山岸社長

私はあまり感じませんでした。
子供のころから建築は好きでしたし、学生時代も迷わずに建築学科へ進みました。

少し珍しい気がしますね。というのも、継承前に抗って一度別のお仕事をされる方が多いのです。

山本

山岸社長

もしかしたら父親に仕組まれていたのかもしれません(笑)。
父は建築とは無縁の学校を出て、山岸建築設計では営業をしていたのですが祖父が急逝し急遽跡を継ぎました。
ただ、建築設計事務所の代表は建築士でなければいけないという雰囲気があり苦労したようです。
その経験から私は建築士になるように育てられていたのかもしれません。

山岸社長

東京の香山建築研究所で働いている時にも、経営者になる前提で技術だけではなく学べるものはなんでも貪欲に関わっていました。
30歳の時に東京から帰ってきて、35歳で社長になりました。
その時はちょうどリーマンショックで、債務超過だった会社を引き継ぐことになったので、正にゼロからのスタートでした。
経営の立て直しも含め、自分が経営者として好きなようにやれるようなタイミングだったと思います。

一般的に士業の資格保有者は人との付き合いが苦手な方が多いイメージがありますが、その点でも山岸社長は異質感があって面白いですね。

山本

山岸社長

もともと世の中とか人間に興味があって、なんでも好奇心をもって理解することが好きでした。
父の営業スタイルは、独特のキャラクターで相手の懐に飛び込むやり方で、自分も子供のころによくその営業のダシに使われていたのです(笑)。
そんな環境で育ったせいか、興味を持つと躊躇せずに調べたり、話したりする癖がついていて、周囲から畏れられている権力者の懐に飛び込むことも平気でした。
社長になってからもそれが活きていて、元々あった会社のコネクションがさらに広がったと感じています。

山岸社長

建築業界においてはアップデートしないといけないという思いはずっと持っています。
この業界では40歳以下、50歳以下で若手と言われますが、他の業界では若手ではないですよね。
世の中はどんどん変化していて、特に地方は少子高齢化で様々な課題が出てきている中で、私たち建築士にしかできないことをやって行く。
これまで通りの仕事のやり方で生きることもできるけど、それでは面白くないと思います。

そういえば、大学院を出た後直ぐに事務所を継いだわけではなく、香山壽夫建築研究所で勤務されていますね。

山本

山岸社長

私の師匠(香山壽夫氏)は日本で初めて建築意匠(デザイン)を体系立てし、東京大学での講義「建築意匠講義」を通して戦後の日本の建築の礎を確立した方です。
建築とは何なのか?という根源的な問いに対して、建築家の社会的役割をアカデミックに捉えるという考えがあって、その影響はかなり受けている自覚があります。

世の中や人間自体に興味があって、かつ建築の持つ社会的役割をアカデミックに捉えるという二面性が山岸社長の中で同居していますね。

山本

山岸社長

根っこの部分ではとにかく好奇心が強くて、その本質を知りたくなるという部分では同じなのかもしれません。

建築設計事務所は地域社会とどのように関わっていくのか?

— 能登半島地震や能登半島豪雨の際の応急仮設住宅建設など、復興関連事業にも関わっておられますね。

山岸社長

能登半島地震の応急仮設住宅の設計で復興のお手伝いをし、多くの人と関わる中で改めて建築の社会的役割を再認識しました。
私の師匠は建築家の仕事について社会的な役割を説いてきた方で、社会的弱者を含めた公に寄り添う視点で建築を考えられています。私もその影響を受けていますが、震災でのかかわりを機にその視点がより強くなったように感じます。

山岸社長

建物の価値は、それを使う人たちにどのような価値を提供できるかにかかっています。
私たちの目指す建築は地域のコミュニティを生みだし、そこに暮らす人々を幸せにすること。
必要なのは、多様な人々の意見を丁寧に聴き、地域の特性にあった価値を生み出すことです。

上の人の顔色を伺って忖度しているような場ではそのような声は拾えませんよね。

山本

山岸社長

そうですね。多様性を引き出すことが大事です。
人間社会がどうあるべきかという根本的な問いに向き合いながら建物をつくることで、価値のあるコミュニティを生み出すことができます。
そのために使い手との対話がとても重要ですが、コミュニケーションが盛り上がってアイディアが次々と生まれる場が理想だと考えています。

自社の働き方改革を進めたのはこのお考えと関係がありそうですね。

山本

山岸社長

コロナ禍を契機に新しい働き方を促進する建物のニーズが増えたため、実験的に自社の事務所で色々なアクティビティーが生まれるようにリノベーションしました。
同時にフリーアドレスやフルリモートも導入し、様々な働き方を試しています。

建築業界でこういう働き方改革を進めている企業はまだ多くないですよね。

山本

山岸社長

やってみると、皆で向かいあって話しながら仕事を進めるという昔ながらの働き方が好きという人もいれば、自宅で一人で集中して取り組むのが好きという人もいます。
正解があるわけではなく皆にとって居心地がよく、自律性をもって自分に合ったやり方で仕事に向き合える場を目指して取り組んでいます。

山岸社長

山岸建築設計事務所のワークスタイルで得られる新しい気付きや経験は、地域とそこに住む人たちに対してどのような価値を提供できるのかのヒントになると考えています。

一元的な建物の持つ価値や意味性でなく、地域とそこに住む人々に提供する価値を個別に考えるという視点への転換ですよね。

山本

「建築」「街」「人」が好きな人に来てほしい

— 山岸建築設計事務所で働く上で、どのような方が向いているとお考えですか。

山岸社長

行動指針(コアバリュー)として掲げているのがこの5つ。非常にこだわって作りました。
そして、建築士という視点では、以下の3つも重視しています。

山岸社長

1 「建築」が好き — 建築設計に情熱を持ち、未来を創る意欲がある人
2 「街」が好き — 地域社会とそのコミュニティを活性化させたいと思っている人
3 「人」が好き — 人との関わりを大切にし、多様な意見を尊重できる人

山岸社長

この3つはつながっており、建築設計の仕事を通してここ石川県で理想の社会の実現のために様々なチャレンジに取り組む意欲のある方を求めています。
官公庁をはじめとする地域とのネットワークや総合的な技術力が山岸建築設計事務所には整っているので、その基盤をいかして一緒に挑戦していきましょう。

山岸社長

そして、この事務所には20代から80歳までの世代の人が働いているので、各々のやり方を尊重し、協力し合うことも大切です。
その意味でも多様性を受け入れ尊重できる方と働きたいです。

最後になりますが、山岸社長は周囲の方からどんな印象を持たれていますか。

山本

山岸社長

「怖い人」と思われているかもしれませんが、物事の本質を直観的にとらえてズバッと指摘するからだと思います。
あまり物怖じしないので、周囲から畏れられている人にもずばずば話しをしてしまう、それで人脈が広がる部分もあります。
一方で中途入社の社員からは「こんなにも社長に物言える会社は他にはない」とよく言われます。
怖い人と逆の反応ですよね。

直接お話させていただくと感じるのですが、色々な人の話を真摯に聴くスタンスをお持ちですし、決断も早いですよね。
社員の中から良い意味で自分の期待を裏切るような意見やアイディアが出てくるとすごくわくわくしますよね。

山本

山岸社長

そうですね、会社の中でも多様性はすごく大事にしています。
そうした話がもっとたくさん出てくるような会社にしたいと思っています。

コンサルタント紹介
(山岸建築設計事務所様を担当)

山本 均

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